【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】関税リスクの影響を受けにくい銘柄にシフト!

「関税リスクの影響を受けにくい銘柄にシフト!」
●政治イベントを控えたレンジ相場
日経平均株価は、米関税政策に対する先行き不透明感に加えて、参議院選挙を巡る政治不安を背景に、7月に入り概ね3万9500円~4万円処で保ち合いを継続。参院選の結果を受けたショック安は警戒されるものの、いったんはアク抜け感が強まる可能性がある。
もっとも、参院選通過後は8月1日の期限を睨んで日米通商協議の進展に市場の関心が集まろう。関税リスクが高まる局面では、AI(人工知能)関連などその影響を受けにくい中小型株に資金がシフトしそうだ。また、日米ともに決算発表シーズンに入ることで、決算を手掛かりとした個別での日替わり物色が中心となりそうである。そのほか、リスク回避的に先駆した銘柄には利益確定売りが想定される一方で、相対的に出遅れ感のある銘柄に対しては押し目狙いのスタンスに向かわせそうである。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆村田製作所 <6981> [東証P]
積層セラミックコンデンサ(MLCC)など世界シェアトップの製品を多数抱える電子部品メーカー。AI需要の拡大を背景に、AIサーバーを含むデータセンターで使われる高性能IT機器の普及が急速に進んでいる。多数の部品が組み込まれるこれらの機器では、 コンデンサの小型化と大容量化、発熱による高温環境下での信頼性などが求められる。同社は7月10日、1005M(1.0×0.5mm)サイズで最大の静電容量を持つ積層セラミックコンデンサの量産を開始したと発表しており、需要拡大が期待される。株価は5月1日につけた1825.5円をボトムに緩やかなリバウンドをみせており、足もとでは13週移動平均線が支持線として機能している。
◆デジタル・インフォメーション・テクノロジー <3916> [東証P]
独立系情報サービス会社。業務システム開発は金融、医薬、通信、公共など幅広い分野で、大手SIベンダーの受託開発を手掛ける。サイバーセキュリティ対策に加えて、人件費上昇を背景に業務効率化へのニーズが一段と高まっており、課題解消に向けて有効なソリューションを提供する同社への追い風が吹く。株価は5月23日につけた上場来高値2640円をピークに調整が続くが、足もとのリバウンドで上値抵抗の13週線を上抜いてきた。
◆エスプール <2471> [東証P]
コールセンターなどへの人材派遣のほか、障がい者雇用支援サービスなどを展開。7月11日に、2025年11月期第2四半期累計(24年12月-25年5月)の連結営業利益が前年同期比8.8%増の8億600万円と、従来予想の5億200万円を上振れて着地したと発表した。障がい者雇用支援サービスで設備販売が好調だったほか、費用の一部が下期にずれ込んだことや、環境経営支援サービスでのカーボンクレジットの大口販売が寄与した。株価は7月14日に368円まで買われた後は調整しているが、右肩上がりで推移する13週線が支持線として機能することが期待される。
◆アルゴグラフィックス <7595> [東証P]
自動車向け中心のCADシステム販売と保守サービスが主力。半導体関連業界向けのシステム構築支援にも注力。サーバー・クライアントの仮想化などに加え、AIの進化を支えるビッグデータ解析を可能とするITインフラなどニーズは増え続けている。株価は5月12日に上場来高値5690円をつけた後は調整しているが、サポートラインの13週・26週・52週線が収斂をみせており、リバウンド狙いのスタンスで臨みたい。
◆エラン <6099> [東証P]
病院の入院患者や介護老人保健施設などの入所者に対し、身の回り品を準備しなくても手ぶらで入院ができるサービス「CS(ケア・サポート)セット」を展開。2025年4月1日現在、日本は65歳以上の人口が3620万人と総人口の29.3%を占める。高齢化の進行に伴い、医療・介護関連サービスの市場規模は拡大しており、「CSセット」の導入施設は2600施設に迫っている。株価は4月7日につけた596円をボトムに切り返し、足もとでは13週線を支持線として52週線を上抜いてきている。
(2025年7月18日 記)
株探ニュース